今年の夏は何年か振りに色々な場所で、花火や夏祭りそして盆踊りが開催されるようですね。
今回は、夏の風物詩の一つ「盆踊り」について、書いてみます。
私が幼い頃には、夏祭りと「盆踊り」は常にセットになっていたような記憶があります。
大きな櫓の上に何人もの人が踊っていたり、太鼓や笛がなっていたり・・。
とても賑やかな夏の夜でした。
なんで「盆踊り」って言うの?
きっと、皆さんもこう思いますよね。
「夏に踊るから、お盆に踊るから」 間違ってはいませんでしたが、一つ疑問ですよね。
なんで「お盆」に踊るのか・・・・。
一般的に、「お盆に戻ってくるご先祖様の霊」を鎮めるための踊り、『霊鎮め(たましずめ)の行事』が「盆踊り」と言われています。
「お盆にご先祖様の霊が戻ってくる」
「盂蘭盆会に踊る」
盂蘭盆会にはこのような考え方はなく、もともと各地域で踊る「念仏踊り」や「風流踊り」と『盂蘭盆会』が結びついたようです。
1431年『看聞日記』に記載されている、「伏見即就院」の記録にお盆に風流踊りを踊った記録が残っています。 なんと、「盆踊り」には、500年の歴史があるのですね。
魂祭りの際に、悪い魂も混じって戻ってくるため、その悪霊を退散させるため、念仏踊りが踊られたと整理しています。お盆の際に、家では魂祭りをし、外では無縁の怨霊を追い払う、こうしたことからお盆と踊りが結びついたと考えました。
「折口 伸夫」 盆踊りの話 より
神様やご先祖様を「お祀り」する「祭」と盂蘭盆会が融合したのが「盆踊り」は、
500年も前から踊られていたようです。
「念仏踊り」「風流踊り」ってなに?
『看聞日記』に記載されている、『風流踊り』や、「一遍聖絵」に描かれている「念仏踊り」
念仏踊りは、太鼓や鉦を鳴らしながら念仏や三宝を称賛する詩歌を唱えながら踊ります。
『日本民俗学辞典』には
「踊り念仏は仏教儀礼として、念仏・和讃をうたいながら霊の鎮魂や鎮送のた
めに踊るものであるから、これを芸能または娯楽のためにすると、念仏踊となる。
しかし現今は、民俗芸能と称して大念仏・六斎念仏・盆踊などを、すべて念仏踊
に入れている」 と書かれています。
念仏踊りは、仏教の大切な儀礼だったのです。
『風流(ふりゅう)踊り』は、華やかな衣装を見に纏い、賑やかなお囃子に合わせて踊る踊りです。
平安時代末期に広がった「華やか」「賑やか」「人目をひく」と言う意味を持つ
『風流』な踊りのことです。
津和野の「鷺舞」や、岐阜の「郡上おどり」京都の「六斎念仏」などが有名です。
2022年『風流(ふりゅう)踊り』は、ユネスコ無形文化遺産として登録されました。
海外でもお盆に踊るの?
盂蘭盆会は、中国が発祥の地。
タイやミャンマーなどの仏教国でも「盆踊り」はあるのでしょうか?
残念ながら、上記の通り「盆踊り」は日本特有の文化。
上座部仏教のタイや東南アジアに多い、大乗仏教国には、「盆踊り」はないようです。
しかし、意外なことに「ハワイ」「カリフォルニア」「ブラジル」などをはじめ、
北米大陸や南米大陸全般に盆踊りが年中行事として行われているそうです。
これは、海外赴任となった方々で作られる「日本人会」の年中行事として行われていたり、
「ハワイ」「カリフォルニア」「ブラジル」などは、日系移民の間で伝承されている行事のようです。
海外に住む日本人がその地で「母国」を感じ「ご先祖様」を思う時間が盆踊りなのかもしれませんね。