ご祈祷の儀式の中で、宮司さんが妊婦さんに代わって、神様にお願いを伝えるのが「祝詞奏上」です。
恭しい、大和言葉で読み上げられる「祝詞」は、意味がわからずに聞くことが多いですよね。
そもそも「祝詞」ってなに?
「祝詞」は神様を称え、神様に感謝の気持ちを伝え、ご加護を賜るための言葉です。
この「祝詞」を奏上することで、儀式が成立しご祈願が成就すると考えられているのです。
「祝詞」は、発端文・由縁 神徳文・感謝文・献撰文・祈願文・結尾文 そして、必ず目的文で成り立っています。
この目的文に「安産」であったり「心願成就」などのご祈願の内容が入ります。
「祝詞」って何を言ってるの?
「祝詞」はそれぞれの神社の宮司さんの手によって書かれているので、神社によって多少言い回しが異なります。
ここでは、福岡県の水天宮さんの安産祈願を現代文に読み替えてみます。
心に思い浮かべるのも、恐れ多い吾が水天宮の大前に、宮司眞木長時が恐れ謹んで申し上げます。 大神様が鎮座されている、この久留米の◯町◯番地に住み、常日頃から高く尊いご神徳を授かっている御氏子の●●の妻、●●は 神の計らいによってお産することになり、大神様たちの厚いご神恩をいただき、先ごろ懐妊いたしました。
家族などに温かく見守られて、禍も変わったこともなく日々を過ごし、早くも何月には出産の予定日を迎えます。 そこで今日という満ち足りた佳き日に、大前に参拝して額づき拝ませていただき、何の偽りもない清い心でお礼の品々を献じさせていただき、安産にて産ませていただくことを希う次第でございます。
つきましては、大神様におかれましては平穏で安らかな心で 私どもの願いにご承諾いただき、神様の幸いをおもたらしくださり、これよりのちは朝夕の立ち居振る舞いに、仮初にも手足などに怪我をしないよう、また、食中毒などもなく、海原で時が満ち足りて輝く玉のような赤子が産声も高らかに産ませていただきますよう、鉾らの真ん中をしっかりと持つような覚悟で、恐れ謹んで申し上げます。
出典 :瓜生中著 「よくわかる祝詞読本」 角川ソフィア文庫
現代文に読み替えても、少し硬い文章ですね。 それだけ 神様に対して敬意を払っているということがわかります。 命を宿した奇跡を喜び 感謝する気持ちとともに、子供と母体の健康を切に願う気持ち。
日本には「言霊信仰」が根付いている国。その最たるものが「祝詞」なのかもしれません。