婚礼業に従事して30年になります。
数えきれない結婚式をプロデュースして、感じたことが
「儀式には、その国の伝統と文化 先人の想いが詰まっている」
と、言うことです。
とある、国際結婚のカップルをサポートした時のお話
カナダ人の新郎様と、日本人の新婦様。カナダにお住まいでした。
カナダでは、現地のご友人親戚をお招きして、教会で結婚式を挙げ、後日、日本で新婦様のご友人 ご親戚をお招きし、神前式で結婚式を挙げられました。
日本に帰国した時、お二人に質問したことがあります。
「どちらの式もご家族が出席されているのでしたら、カナダか日本か、どちらかだけでよかったんじゃないですか?」と・・・
その時に新郎様は、こうおっしゃいました。
「彼女が生まれ育った国の文化を知りたかった」と・・・。
素敵ですよね。
カナダでの結婚式では、タキシードとウェディングドレス、カナダのしきたりに従って、
朝までダンスタイム・・・小さくカットしたケーキをゲストを持ち帰ってもらったそうです。
そして、日本では、紋付袴 白無垢で挙式をされました。
誓いの言葉、カナダ人である新郎様がしっかりと日本語で読み上げられました。
「日本の文化を知りたい」と仰ってた新郎様は、三三九度の盃を見たときに「なんで、3つあるのですか?」と聞かれました。
「一番上は「過去」 ご先祖さま まん中は「現在」 お二人を表し 一番大きな盃は「未来」 これから授かる命を表してるのですよ」と、お話ししたら
「日本人らしい見方ですね」と言われました。
自国の文化に誇りを持っていらっしゃるからこそのお言葉だと感じたものです。
実は、日本人でもなかなお道具や持ち物について、質問される方はいらっしゃいません。
あまりにも身近にある道具だから、そんなこと考えられないのかもしれませんね。
1つ1つの道具には、そこに作った人の想いが込められています。
日本の儀式って・・・
三三九度の3つの盃 朱塗りも日本の大切な文化
職人の技術が詰まっている白無垢
雄蝶雌蝶と言われる盃事に使う、折り紙の蝶や水引は、日本人が得意な繊細な仕事。
神様のお供えを置く三方には、神様に対する敬虔な気持ちが表れています。
小さな頃から見慣れているもの。 「式」に出会ったタイミングで、そのモノを知るきっかけになってくれたらと思います。